あの突貫作業記事から既に6ヵ月。

帰ってまいりました、発売即日レビュー!

お題はもちろん、あの萌え4コマ!

 

 

 

「ROMーレス。」第2巻:白雪しおん:芳文社

『ゲームの中から出て来た女の子・久凪と、しっかりものの店長さん・静夜。

ぐうたらな兄妹に加えて、静夜の元カノ・千奈ちゃんも絶賛暴飲暴食中(?)で大騒ぎ。』

(単行本オビより抜粋)

 

第7回目のレビューで紹介した、「ROM−レス。」の2巻目です。

より詳しく知りたいという方は、wildcat様のサイト「Dans  Sa  Chambre」でも詳細にいたるまで紹介されておりますので、ぜひそちらへ。めっちゃキュートなイラストつきですよ。

 

載ってましたよ、「兄さん本気出すときっと僕より・・・・・・・・・」(涙笑)。

1巻前半は生まれたて(笑)の久凪を中心として登場人物の性格などを紹介している面もあったのですが、2巻ではさらに各キャラクターの内面などを深く掘り下げて描かれています。普段はチャランポランのニートで、父親が生きていた頃は反抗ばかりしていた有賀が、その父の墓前で

「結局最後まで反抗しっぱなしだったからさ」

「親父は幸せだったのかなー・・・とか」

とシリアスに語ったり(このシーンで彼のファンは倍増したと思う)、初詣で騒ぐ兄ふたりに

「いいから黙って自分の事願え」

とツッコむ相変わらずなクールっぷりの潤架様(笑)が、実は結構気を使う性格でいらっしゃるところとか。

絵柄の方も相変わらず可愛く、しかも衣服のバリエーションが多いこと多いこと。ちいさいレストラン「こねこ館」の制服や水着は定番としても、フェア中の制服までしっかりと用意している上に、私服も全員毎回違うもの。そりゃあ折り返しで愚痴りたくもなる・・・・・・って、それは別の単行本の方か(笑、「にこプリトランス」という作品も1巻が発売中)。

 

相変わらずの天然ぶりを見せながら、しかし次第に静夜に対する自分の気持ちが特別なものであると気づき、理解する久凪。高校時代のエピソードを織り交ぜながら、「別れたけど嫌いになったわけではない」のが素直な気持ちである千奈。ふたりの想いに翻弄されつつ、自分の気持ちにケジメをつけられずにいる静夜。3人の想いが時の経過と共に揺れ動き、やがて答えを求めてきたのは・・・・・・

最終回のエピソードは当初、私個人としては意外なものでした。

しかし単行本化されてから改めて読み直してみると、なぜ久凪がああいう行動に出たのかがわかるような気がします。久凪はゲームソフトです。天真爛漫で優しく、純粋すぎるほど純粋な彼女には、人間が成長するにしたがって無意識に学んでいく「狡さ」や「ごまかし」、恋愛における重要な要素でもある「駆け引き」などが学習できず、その「純粋さ」ゆえにああいう行動に出たのではないでしょうか。恋愛感情を持ったまま客観的に自分たちの関係を説明できる論理。それこそが久凪唯一の欠点だったのかもしれません。

・・・・・・いや、一応ハッピーエンドですよ? 切ないだけで。

そこがいいんですけどね。

 

もうひとつ、「自分たちの関係」な話を。

ゲームの製作者であり、つまり久凪の父親ということになる有賀ですが、彼は最初、久凪から「お父さん」と呼ばれることを嫌がっていました。しかし時が経つにつれて自分から「ごめんなーお父ちゃん甲斐性なしで」「そういやマイドーター(娘)は?」と言うようになり、最終回では「本当 俺には出来た娘っスよ」と言いながら久凪の頭を撫でています。便宜上の呼称でしかなかった(だからこそ嫌がった)「お父さん」が、本当の意味での「父」になった瞬間だったのではないかなぁ、と思っています・・・勝手に(笑)。

 

例によってカバーをめくると白雪先生のあとがきが載っているのですが、今回はかなりネガティブです。「これ以上自分で納得できない作品を書き続けることはできない」のが連載終了の理由だったそうですが・・・・・・

そんなに悲観する必要はないと思いますよ?

そりゃあ所詮は他人事なのかもしれませんが、納得できない理由がどこなのかわかりませんが、私は大好きです、この作品。言いたいことを上手く表現できなくて

「そうゆう事なんだと思いますっ」

と断言するチビ久凪なんか、もう最高。世の中には説明が要らないものもいくつかあるのだ(笑)。

カバー裏で白雪先生が「〜バージョンもあったのはヒミツ」と書いていたけど、それも見たかったなぁ。なんかの機会に書いてくれないかなぁ。DVDの特典にある「主人公が仏像の頭掲げて飛びかかったり、本編では死んじゃう奴が生き残る、アナザーバージョンのラストシーン」みたいに。

 

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